永い冬眠/HAL
あなたのいないこの部屋は
あなたを失ったことをまだ知らない
昨日までは
笑い合ったふたりの会話の声も
時には怒鳴り合った喧嘩の声も
聞こえないのに
この部屋はそれすら気づかず
あたしの泣き声に怪訝さも覺えない
どう言えば分かるのかしら
この部屋からあなたが先に消え
あたしももうすぐ出ていくことを
それでも平気だと
この部屋はいつものように
朝を迎え昼を遣り過ごし夜に眠るのかしら
この部屋でのふたりの睦み合う喘ぎは失われ
あたしの小さな熱い叫びももう聞けないのに
その代わりに冷たい無機質な空気に覆われることを
時計はスローモーションのように動きが
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