昼間のカゲロウ/生田 稔
 
白昼のカゲロウ

昼間の明るさの中で
現れた婦人
私ですと呟いて
ただそれだけで消えていった

ダンス教室の板の間で
踊っていた婦人
鏡の中で体をふり
もう彼女は来ない

バスの窓から
腰かけて
どう、詩にしてはと
水の中に紅いソーダー水が溶けてゆく

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