私が空を見上げれば/木の若芽
 
「私が空を見上げれば」
              木の若芽

私が空を見上げれば
誰かも空をどこかで見上げているのだとわかる
あの川のむこうかもしれない
あの山のふもとかもしれない
遠くの街の建物のあいだかも
行ったことのない国のかたすみかも
同じとき空を見上げている誰かよ
さあやさしい気持ちになりましょう
もっと高く深くを見つめて
どこか空の一点で私とあなたの気持ちが出会うこともあるから

私だけが淋しさをまぎらすように歌っているのではないね
みんなが歌い答えてくれているんだね
葉っぱと葉っぱのあいだから誰かの浅緑の歌声が私に歌いかけてる
さっき水をまいた土の中から誰かのなつかしい匂い
景色のはじっこからも
背中のほうからも
たくさんのものが私に歌いかけているのが体じゅうで聞こえるの
私の自然宇宙への思いは片思いではないんだね
けっして


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