帰省中/
朧月
田舎はかびくさい
亡くなった人のバイクが道筋に置かれたまま
それになにも言わずに暮らし続ける
庭の木は森のよう
思い出の中にもどされ
教室の落書きみたいに
なぞられる
そんな存在になったよう
帰ってきたのかと
きくのは
人ばかりでない気がする
蜘蛛の巣でさえ
きらきらと私を誘う
試すように
どこかよその人な自分を
もてあます時間に
故郷の空気がふわりとふれていった
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