にぎわし日/田代深子
かな小父の通夜はにぎわい
三弦と木魚 お宮の龍笛をひきあいに
かな小父の唄と三弦曲かれこれが寄って
大ざら酒瓶もたたかれる とむらいの夜
かな小父がわたしにくれる遺物 掌が
その壺の肌に濡れ衣のようにすい着いて
こよが隣で紅もなく赤い唇を締め息づく
わたしを見ずに見ている 震えては
ならなかった
いろの濃い菓子を子どもらにわけては
おまえは
ほんとはおれの子だ おまえもおれの子だ
こよもわたしも
言われた母親たちも父親たちも言われた
わたしは笑う ならその壺をわたしに
かな小父が死んだらその茶壺を
その子のわたしに
かな小父は三度うなづき茶壺を逆さに振
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