ママと僕、母さんと俺/乙ノ羽 凛
ママ、一人で食べるご飯は寂しいよ
大好きなママが作ってくれたのに
美味しいご飯なはずなのに
冷たくてしょっぱいよ
耐えられずに玄関の扉を開けた
月明かりが綺麗な夜だった
走っても走っても
月が追いかけてくる
逃げ出した僕を照らしているの?
ねえ、お月様…ママは僕のこと嫌いなの?
月が出ている夜は好きだった
お庭に出ると月明かりが僕を照らしてくれるから
月日が経つにつれて大好きだった月明かりも
窓からぼんやり眺めるくらいになった
いつからか一人称は俺になった
母さん、昼夜いつも働いてくれてありがとう
全部全部、俺や家庭の為だったんだね
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)