ママと僕、母さんと俺/乙ノ羽 凛
 
ママ、一人で食べるご飯は寂しいよ
大好きなママが作ってくれたのに

美味しいご飯なはずなのに
冷たくてしょっぱいよ

耐えられずに玄関の扉を開けた
月明かりが綺麗な夜だった

走っても走っても
月が追いかけてくる

逃げ出した僕を照らしているの?
ねえ、お月様…ママは僕のこと嫌いなの?

月が出ている夜は好きだった
お庭に出ると月明かりが僕を照らしてくれるから

月日が経つにつれて大好きだった月明かりも
窓からぼんやり眺めるくらいになった

いつからか一人称は俺になった
母さん、昼夜いつも働いてくれてありがとう

全部全部、俺や家庭の為だったんだね
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