休日リザーバーで釣りをする/北村 守通
 
どこに行き着くのかもわからないポイントに囲まれているのに
闇を照らしてみようとすることもなく
昨日という明日を繰り返している

私が投げたルアーは
かつて町であった場所の上を通過する
泥底に埋もれてしまった町並みを
私が投げたルアーは
高性能な人工衛星のように見下ろしているのだろうか

無人になって
時折ぶつかる水流や
思い出したときに天上へと向かう
あぶくのあわてふためく音以外には
荒らされることのない
このひっそりとした
下界の世界は
私にふさわしいものに思われたが
どうやらそれは
無人の町並みに
失礼なことだったようで
私はルアーを失い
駐車場に向かった
気分を落ち着けるために
煙草をくわえたが
むせこんでしまって
かつてのようには吸うことができなかった

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