「沈黙」についてのノート--ヴィトゲンシュタイン、G.スタイナー、石原吉郎の「沈黙」/N.K.
 
に問うことによって。
 一歩進みだすために独断を承知で言えば、ヴィトゲンシュタインは、言語で何かを表現したいと思う者に「沈黙」を突き付けて、「死を覚えよ。(メメント・モリ)」といったように思える。そしてG.スタイナーは聞くために「沈黙」を欲した。石原吉郎は、にもかかわらず「沈黙」に向かって書いた。
 「沈黙」を覚えよ。言葉を聞くためには沈黙がなければならない。言葉を書くためには向うべき沈黙がなければならない。

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