きみは、/あ。
 
例え握りつぶしたとしても
きっと
手は汚れないと思うんだ


乾いてひび割れてきている田んぼにも
まだ新しいビルの真っ白な壁にも
しっとりと重たい町屋の歪んだ屋根にも


よろよろと垂れ下がっているのは
瑞々しい、夏
甘い水でいっぱいなんだろうけれど
触ったってべとべとしない


イメージ


蝉の声がはねっかえる
二の腕を虫に刺される
ソフトクリームをこぼす
たちまち蟻が集まる
突然の夕立
流れる
そして湿度
消えた雨雲
立ちのぼる水蒸気
日常
きみは夏、
きみは夏、


ねえ、
全部いっしょに
食べちゃってもいいかい

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