さちゅうのにじ/フユナ
ようようくりかえすことばを
きみにいえるわけがなく
しらぬまにきれたひふが
ゆっくりとすなにしずんでゆくので
「ゆーとぴあ」とぼくがいったが
きみにいえるわけがなく
ただしらぬまにきれたひふが
ゆっくりとすなにしずんでゆくので
「さよなら」とぼくがいったが
きみがきこえるわけがなく
ただずぶずぶと
ぐずぐずと
あてもなくうずまってゆくので
にじはひらひら
そこにただよっているのを
きみにいえるわけがなく
みのがしたししんけいが
ゆっくりとすなにしずんでゆくので
にじも
ぐずぐずと
すなにしずんで
いった。
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