気のせい/灰泥軽茶
 
風鈴が鳴る

気のせい

エアコンで冷やされた身体は

動かすたびに耳のうしろあたりで

ごおりごおりと

暗闇で白クマがふりかえったような

私も同時に身体をうしろにねじると

みぞおちあたりから

からんころんと

製氷皿に白クマを流し込んで

塊にしたような

太ったこおりが

二個三個床に落ちた

気のせい

風鈴が鳴る



戻る   Point(6)