きんいろ/鯉
麒麟を飲みながら、もうすぐ上京するともだちとグラウンド付きの河原でバーベキューをしていると、目の端に虫が集るのが感じられた。においがきつくなっている。ともだちはゲラゲラ笑いでもって幽霊の話をしている。おれはロングピースを吸って、言葉の節々から滲んで来る夜にじっと目を凝らしていた。
「目を合わせたらいけないってのはやっぱあるわ。トイレの前でじっと座ってて、ぼくが顔を向けたらビクってこっち見て」その瞬間にHはおれの方に向くものだから、驚いて缶を取りこぼした。酒がジーンズに滲んで黒々としてくる。だんだんと濡れているのか濡れていないのかわからなくなってくる。薄暮だった。
「吸え! 吸え!」ともだちが
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