風と/木の若芽
「風と」 木の若芽
すっかり風を体に染み込ませて
髪は風になぶられるまま
強い風 花の香りは飛び散ってしまうけど
くすのきの香りは渦巻いてたちこめている
いたずらな風
私の鼻をつねったあと
さるすべりの枝を揺らし私を花とキスさせた
風の染み込んだ体は 陽射しをぐんぐん吸いこんで
野ざらしの気持ちよさ
水をやるとたちまちのうちにまた立ち上がる
細い茎に咲く花よ
私は木の気を吸えば同じようにたちまち立ち上がれるよ
さあいっしょに
志の木がてんてんと 空の中に見える
それをたどって行けば 迷うことなく散歩できる
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