嘆きなく/木の若芽
 
自分の憂いを投影しているのだろう
だが木は喜んで葉を落としつくす
空のものになるために


ある高い山の頂上から少し下がったところに
少しひらけた原があり
木々にかこまれたくぼ地に水がわき出て小さな湖になっている
そこから山を仰げば白い岩肌に天馬と鳳が刻まれている
湖には木と空の雲や星が鏡のように映る
この水で沐浴し口をすすげば
わたしの魂は木の星座に昇るだろう


首相が誰になろうとも
市場や投資がどう騒動しようとも
富士やヒマラヤや天山がそびえる限り
梓川やガンジスや揚子江が流れる限り
わたしは生きる
木も生きる
魂は鳥になって飛ぶ
緑色の翼と紫色の尾をもって

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