嘆きなく/木の若芽
「嘆きなく」
木の若芽
ゆりの木が鳴る
けやきの木が踊る
とてもさっぱりした風だよ
昨日の風はしっとりとしていた
今日の風はからりとして
いちょうを匂わせ
プラタナスを香らせる
みんなそれぞれに一本一本が
みんなそれぞれの色をもって混じり合いながら並ぶ
大きな木の葉はパサリパサリ
小さな木の葉はサヤサヤサヤ
それぞれの音たてる
すてきですてきで淋しくなんかないな
夏は緑で大地をおおった木たちは
秋から冬に葉を落とし身も軽く自由に
空のものになる
落ち葉を嘆く人は
木が本当は喜びふるえて葉を落としているのを知らない
自分
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)