嘆きなく/木の若芽
 
「嘆きなく」
          木の若芽

ゆりの木が鳴る
けやきの木が踊る
とてもさっぱりした風だよ

昨日の風はしっとりとしていた
今日の風はからりとして
いちょうを匂わせ
プラタナスを香らせる
みんなそれぞれに一本一本が
みんなそれぞれの色をもって混じり合いながら並ぶ
大きな木の葉はパサリパサリ
小さな木の葉はサヤサヤサヤ
それぞれの音たてる
すてきですてきで淋しくなんかないな


夏は緑で大地をおおった木たちは
秋から冬に葉を落とし身も軽く自由に
空のものになる

落ち葉を嘆く人は
木が本当は喜びふるえて葉を落としているのを知らない
自分
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