白い水/竜門勇気
 
水は
どこにあるんだろう
あの白さは
白すぎて ただ白いがために
その白さに 傷ついているんだろうか

引き出しの奥から
あの瓶が見つかった時
僕はそれをあの日見た白さと
同じだと認識できるだろうか

半ばほど溜まった透明な水と
底に揺れる白い何かが閉じ込められた瓶を
また振り混ぜる勇気がなくて
流し台に捨てる

呼吸しながら瓶は空になり
僕の肺の中で
心を内側から支えていた何かが
溶けて息に混じった

内側は何度かシャリシャリと脆い何かが壊れる音がして
やがて静かになった
空になった瓶の中に僕は閉じ込められている
歪んでふさわしい姿で
僕はそこにいる
僕はそのそこにいる

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