経て 辿り着かずに ここから/黒ヱ
 

ぼうっと 暑かった

体温を測ったら 丁度 37度5分だった

暑く感じる体とは 裏腹に

心は 凍てついて 寒かった


「そんな 純真無垢なことを 言ってみよう」 


出て来ては すぐに 蜻蛉帰り

その後ろ姿 抱き締められないの

手を伸ばして 肩に手を掛けてみる

そこから そのまま それまで

ずっと 眠り続けるの それは 狸なの?

今 そおっと 後ろから このまま

抱き締めてみたら

あなた 驚いて 目が覚めるかしら


「もう少しだけ そのまま・・・」


ふわりとした 止め処ない時間

ゆっくりと でも確実に 

そこへと向かっている


「経て 辿り着かずに ここから・・・」


全てのものに 目を向けて

ちゃんと ありがとう と言いながら

ゆっくり 歩いて 行こう
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