雑草の花・鯨の皮膚/高濱
 
者が、羽根を生やした機械の様な物を作働させ、
皆喰尽くされてしまうからだよ、と微笑む。白木蓮がその眼球を動かすと、眸から花が零れる。



眠りに就いていたのはわたしか、あなたか。描かれたのは誰で描かされていたのは誰だったのか。
不敵な微笑を浮かべる安化粧品のポスターの様な眦だ、何が洗顔油に溶けていたのか、
顔の画布の上に混沌とした枯葉の蝶が渦巻いている。あなたは誰の贈り物なのか。
「わたしは死者よ、ずっと昔からの」噴水の縁を歩きながらそう伝える、ガラスはあなたを愛するだろう。
それ故にショウウィンドウの衣服が煤けた二十世紀の火薬を点火し、絨毯爆撃の憂目に遭うようなことがあってはならない。
私達が、或は私が、郊外へ避難してゆく自動車のトランクには紋白蝶の燐粉が敷き詰められていたし、
ここにはもう駄目になった機械類しか集まらないのだし、あなたとは上手く踊れないだろう。


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