ウテルスから/黒ヱ
 
細かく斑にして 千切れ千切れに

ひとつ ひとつ 思い出しては 消してゆく

それでも (分かっているのだけれども!) 忘れられない

枯れても なお

愛されて 愛している


「愛を」


空は紫苑 

遠く遠くで 覚えてもいられない処で

どんな馴初めを 過ごしたのさ

そこで (本当に愛から産まれたのか!?) 何があったのさ

時々刻々と澄める 広がってゆく

または それを 記憶しないとする

覚えていられるだけでは 見当たらないよ

消えているのか

無かったのか


「あいを」


間違えていないから 辛いのさ
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