昨日夕方、/永乃ゆち
た影だけが頼りなく揺れていたのでした。
私の涙はアスファルトに蒸発していくばかりで
頬を伝う温かさだけが真実のように思えました。
あの人が好きで、好きで
誰かを傷付ける想いだとしても
この想いの為に裁かれようとも
どうしても手放せずにいるのです。
わたしはここで
一生あの人を待ち続けます。
季節が巡り、あの人の中でわたしが風化していこうとも
わたしは忘れはしません。
笑い声、目尻のしわ、細い指。
強く優しい、あの人の心。
わたしはここで
一生あの人を待ち続け思い続け
暮らしてゆきます。
それがわたしの愛の総てです。
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