その白い夏/ルナク
やわらかい歯車の笑う午後2時に皆既日食しそこねた月
くじら寝る丘はひだまり夏時間わすれた年の絵日記を描く
青・青・青こばめぬ水の鋭角にちぎれて香るウミネコの夢
氷柱をけずって造ったとうめいな鳩二時間で夏空に消え
水晶菓(はっかあめ)ひと欠口にほおばればキンと吹き抜く青白き風
孤高なる猫の瞳はペイルブルー奥に異国の街並みがある
炭酸の泡それぞれが主張する無色の言葉みんないとしい
まいあがる噴水にかかる橋を見た八月七日・日比谷・午後・にじ
泳ぎすぎたプールの後のけだるさを思い出させる夏の感傷
左手
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