光る円盤と四角な部屋/灰泥軽茶
 
それほどまだ情報が発達していない時代
町の駅前ショップ
一枚がとても高く
気軽に買えたものじゃなかったけれど
流行りものには流されたくなくて
出来るだけ自分の感性を信じて
小一時間そして二時間ずっと色々ケースを眺めては
裏表帯に書かれた言葉の感触を何度も
咀嚼して咀嚼して
さぁレジへ行くぞと

帰り道は胸が高鳴り高鳴り
どうか私に当たりくじを七福神様と
家に帰りきらきら光る盤面を
デッキにかけて
しんと張りつめた空間
音楽がとても好きでした

今となっては過去の遺物になりかけて
リサイクルショップに大量に並ぶ姿や
畑の害獣よけなどにきらきら光る姿を見ると
なぜだかとても眩しくて
目の奥に脳裏に焼きついた
今はもうない
自宅の四畳半本棚に並ぶ背表紙たちが
私に向かってくるりくるりと
回転しながらなだれて
私を埋めていく







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