そらと君とかぜ/乱太郎
そらがあって君とかぜ
僕の持ち歩く六号の亜麻に
そらはなんども重ね塗りされ
凹凸が出来るたびにナイフで切り取っていく
そのとき僕はそらを見失い
しばらくして光りが絵筆を握ってくれたとき
指し図されるままに配色していく
薄い緑で記憶の曖昧さに霞んでいくこともたびたび
そらはなんども呼吸する
そらがあって君とかぜ
僕のそばにはいつも六号の亜麻が
君はそこから飛び出し
アクリル板になった僕にいたずらする
凹んだり膨らんだり
揺れるたびに僕に貼り付いたそらは歪んでしまう
玩具だもんね
まだあどけなさの残る君にとっては
記憶の断片は戯れでしかないのだろう
そらはなんども故障する
かぜがあって君とそら
飛ぶことのない時間の翼を手にしたいと
夢見ながら僕らはいつも歩いている
たんぽぽを運ぶ風の方向へ
笑っているはずの空の方向へ
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