修羅街の人/チャオ
 
  それにしても私は憎む、
  対外意識にだけ生きる人々を
  ―パラドクサルな人生よ
                        中原中也 修羅街輓歌より

最近、本屋さんでアルバイトを始めた。書棚を持つことが出来ないからずっと、レジカウンターの前で突っ立ってる。あきれるくらい暇だ。でも、本に関わりたいという少年みたいな願望が、まだ僕をレジカウンターの前に立たせている。
いろんなお客さんが来る。老若男女問わない。でも、持って来る本は、あまり変わらない。そして、お客さんが探している本もいつも変わらない。スーツを着た人は、語学かビジネス。女の人は、旅行か料理、雑誌。そんなものばかりだ
[次のページ]
戻る   Point(4)