砂浜にて/木の若芽
「砂浜にて」
木の若芽
海はにぎやかに人に満ちた
ビール 浮輪 潮風
波打ち際を走ってみた
かもめになる準備のように体が軽く
潮の匂いが強くただよう入江まで行けるほど
知らぬ間に自然に心身がひきしまっている
ティーシャツのまま波に向かっていった
船の舳先の女神像のように体を支え
潮の恵みが強く打ち寄せてくるのを受けとめ
自然に知らぬ間に心身が充実している
みこしが来た
威勢よく海に入っていき
無事と恵みを願って
太陽と青空に光り
潮騒と渚に踊る
海は過去から来る未来だ
このみこしの上に
波打ち際に打ち寄せられた貝殻は星座のよう
砂に顔を近づければ黒い砂粒に色とりどりにきらめく粒が混じっていて
その粒が空の上の星と同じいのちに見える
わたしは自分の位置が一瞬わからなくなる
ああ この砂浜に寝転んでいるのだ
何も失うものはない裸の心
何もいらない素の体で
この砂浜に寝転んで祈っているのだ
今 世界 対 わたし
この時 世界 イコール わたし
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