静かな雨に討たれて/
kauzak
もう終わりだ
と思ったのは雨に
濡れた瞬間だった
世界がゆがんだ気がした
水気を含んだ髪を
乾かしながら
僕は
思う
何処にも逃げ場所はない
と
静かに雨が降っている
音もしないくらいに
だから濡れたこと
すら分からなくて
玄関で靴を脱ぎながら
床に水滴が落ちるのを
目の当たりにして
ようやく気付いたのだ
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