静かな雨に討たれて/kauzak
 
もう終わりだ
と思ったのは雨に
濡れた瞬間だった

世界がゆがんだ気がした
水気を含んだ髪を
乾かしながら

僕は
思う

何処にも逃げ場所はない


静かに雨が降っている
音もしないくらいに
だから濡れたこと
すら分からなくて

玄関で靴を脱ぎながら
床に水滴が落ちるのを
目の当たりにして

ようやく気付いたのだ
戻る   Point(4)