帽子と**考/木原東子
 
**というわけで 愛用の帽子はベージュのレース製
筋金入りの自由自在 たたんでひろげてひっぱる
突然ピンと宙に浮く
新しいのを買ったらと 90歳の母の助言

思い出の中に浮かぶ帽子たち

赤いビロードの小さなつばの
冬の大学生として
フランス人との混血のインドネシア人みたいだった

洒落た麦わら帽子
夏の大学生として
列車の窓から高原に飛んで行ってしまった

新妻の黒いつば広の帽子
ミニスカートとサングラス時代
まだまだ未来は明るかった

それでおわり あとは毛糸で編んだもの
その他うっかりと買った帽子は 全部失敗だった

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