優しさのかたち/加藤
 
あの子は 優しく かわいくて
真っすぐな目を ふせていた
必死な 私のおせっかいには
心開いて うなずいてくれた

ありがとうと 言おうとしても
伝わらないセリフが あふれだす
ごめんねと 言いたい時には
自己弁護を むやみにした

人を思う気持ちを 忘れかけ
冷たい心に 気がついた時から
私は優しさをなくしていた

あの子は静かに 私の話す言葉を 聞きながら
素直な目で 応えてくれた
優しさのかたちは いびつとしても
誰かを思い 言葉を感じ しぐさを見て
そのかたちを 覚えるのだろうと
その時に 思っていた

ありがとうと 思っているのは心の中だけ
言うことはできないけれど
また話をしたい また話を聞きたい
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