鈍痛の南側の季節/
nonya
西瓜の皮の饐えた
匂い
溶けかけたアスファルトの
執着
潮の香りで擦り剥けた
夜明け
逆光の中で振り返った
誰か
何処から剥がれ落ちたのか
皆目見当がつかない
ことにしている
記憶の切れっ端
生温いファンタの
水溜り
うなだれた向日葵の
影
目尻から滴り落ちた
傲慢
二度と帰らなかった
あるいは帰って欲しくなかった
誰か
我慢できる虫歯の痛みと
とてもよく似た季節の
ねばった舌先が
今年も僕の
南側を舐め回す
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