かくれんぼ/
亜樹
首を吊るには低すぎる木の下で
少女は一人
空を睨んでいた。
役場から聞こえるサイレンが
夕焼け色ににじんで消える頃
やかましかったセミももういない。
――もういいかい
アジサイの上
小さな雨蛙が
夕立を呼んでいる
――もういいよ
昼間のうちに刈られた草が
陽光にあぶられて
もうすでに発酵した
鼻につく、その匂い
首を吊るには低すぎる木の下で
膝小僧に擦り傷をこさえて
少女は睨んでいる
明日がやってくるほうを
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