透過するきせつ/かんな
 
透明から
溢れるような
ちいさな恋の始まり
色づく
季節をめぐり
花咲いたあの日


売ったり買ったり
できるものほど
重要ではないかもしれない
売り買いできないものを
やりとりする
きっと大切なこと


知らないうちに
あたりまえに
なっていたものごとを
特別
に戻す行為は
ほんとうに必要


忘れていた
ページを開くときは
なにも手にしない
過去に
まるやばつなどつけない
ただほら涙が流れて
一時染みができるけれど


忘れ去られた過去を
修復する
隙間から
現在が流出して
ことばを押し流していく
今ここにいます

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