真夜中の浮上/灰泥軽茶
 
雨が降る真夜中

傘をさしながら

鈍く光るアスファルトの上

自転車をこぐ

少し力を入れて坂を上り橋を渡っていく

下をのぞくと川は濁り荒々しさに

背筋がざわつく

と大きな羽を広げて一羽の白い鷺が

いきなり目の前猛々しさ

よけることもできず

私の弱った胸を突き抜けて

雨降る夜に消えていく

誰もいない橋の上

私はブレーキもかけずに

傘の浮力を信じて全速力で

坂を駆け降り飛んで消えていく


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