スイカ/小原あき
 
わたしがスイカを食べる
それが血液となり
まだ小さい
息子のご飯となる


不思議だ


息子は確かに
わたしのお腹の中にいて
わたしの作った卵から
生物の進化を経て
生まれてきた

おぎゃあ、と泣く
その声には
わたしとは別の人格があり
確かにわたしの分泌物である息子が
わたしの意志とは関係ないところで
泣いている


不思議だ


小さな種から
大きなスイカが生るように
小さな種から
立派な一つの人格が生まれる


不思議だ


やはりわたしは
このスイカと
同じなのだと
汗の中
息子を抱いた




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