憧憬に勝って/もっぷ
 

みていた憧憬は
カップのなかの角砂糖のように
溶けていった
まるで経ってゆく日日のように
あっけなく

脆さを
弁護するつもりはない
ただ
愛することができる
無償で



傘を捨て
雨のなかへ身を置くような

いつか、からのそんな癖
それは雨のような
なまやさしいものじゃないのに

たかが
かなしみ、
(本心じゃない

かなしみ
忘れられないし
癒えることのない

隣人のような
そんな

そんな、


かなしみ
憧憬に

勝って
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