愛はあるから/田園
さようなら。
またね。
彼女はとても美しくそう言って去って行った。
まって。
おいてかないで。
僕はいつもそう思って笑った。
悲しくて仕方なかった。
だって知っていたから。
彼女の眼には僕は写っていないと。
ある朝小さい子供が一人、
公園のブランコでぽつねんとしていた。
母親はどうしたのか、僕はなぜか気になった。
だから僕は彼の所へ行った。
ぼく、だいじょうぶかい。
そう尋ねたら、少年とは思えないくらいの憎しみの目つきで睨まれた。
少年は何かに怒っていた。
見ず知らずの僕にその怒りをぶつけるくらい、
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