裸眼で逢おう/永乃ゆち
 
目の中でゴロゴロしてる

グリーンのコンタクトをつけて

それだけでお姫様になれると思っていた


風に前髪がなびいている

ピンクの髪留めをつけて

それだけで少女になれると思っていた


唇の上できらきらしてる

ピンクのグロスをつけて

それだけで愛されると思っていた


スカートをはかなくなっても

ヒールの靴を脱いでも

私を認めてほしかった


そこに今までの私はいないけれど

確かに存在する『わたし』を見つけてほしかった


でも貴方は知っていたのね

貴方は私の心臓めがけて話しかけてきたのだから


裸眼になって髪留めをはずし

グロスを拭ったわたしを

貴方はちゃんと知っていた


必死に見栄を張るように着飾った事の無意味さを

哀しくも思うけれど

何もなくなったわたしをあなたが見ていてくれるだけで

呼吸ができる


私わたしになる

今日からわたしになる


わたしの顔で貴方に笑顔を返せるように
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