まぼろし/Akari Chika
 
ゆっくり歩くこと
こっくり眠ること

時のしじまに目を凝らし
宵の迎えにむねを預ける

さあ ひと呼吸
搾りたての日々はもう
ゆらめいた道路のまぼろしの中に

まぼろしの中に
あなたが最後に
根を下ろす前に
わたしの後ろに

置いていった花の奥に
次の季節が隠してあったこと

手を叩く星の群れに
夜の兆しが閃いて
窓辺へ帰れないまどろみの中に

まどろみの中に
またたきの中に

月が澄んでいくひとごとも
扉が開かれたことも
秘められていた
その隙間に

詰められていた
まことの話は

まぼろしのように
まばたきのようで

またとめどなく
交わり続けている






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