麦わら帽子/灰泥軽茶
 
向こうの空で飛翔している

麦わら帽子

風に飛ばされているのか

生き物のようだ

溢れ出てくる感情

幼い頃の私は

その優しさは自分を守り

相手を守っているつもりだが

優しいだけではすぐみんなから忘れられてしまう

大きな声で呼べば呼ぶほどみんなの姿は小さくなっていき

高く青い空がだんだん近づいてくるようで

心の中では嬉しさがこみ上げる

できれば目をつむり

腕をぶらぶらさせながらいると

音もなくいつのまにか自然に

私の存在は薄れていき

光の加減で自由自在に形を変え

どこか遠くへ流されてしまえば

いいのにと

あの麦わら帽子のように

生きているような滑らかな呼吸をしたいと願う
















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