君へ/うんち
ぱちくりぱちくりと舞い降りる雨が
ぼくらの生きるこの小さな町を包み出した。
この雨は大きな君の幾千もの涙だったんだね
どれだけ手を伸ばしても届かない
手が届いたところで、涙は、いっそうあおくふかくとりとめもない。
ぼくにできることは君の涙を水槽に溜めて
大きな君にごめんねと謝ること、
ほんとうは君の涙を止めることのできない無常のいきものが君に謝るべきだと、
どこへもぶつけることのできない怒りのもやみたいなもんをこぶしに握った。
わたしはたましいをぐっとおなかに入れて歩くよ。
ぐっと、どの光にも負けないくらい、ぐんと強く
おなかに入れて、戦う。
はじまりなんだ。
戻る 編 削 Point(2)