お金について/チャオ
ど、やっぱりお金も大切だ。その意識が強くなりすぎた僕は、あめの匂いも、光の肌触りも無視してしまっていたらしい。
最近、僕の大好きな彼女がこんなことを言ってくれた。
「貧乏じゃなくなったら、嫌いにんっちゃうから」って。悔しいけど、他人ってのはずいぶん自分のこと知ってんだなって思った。僕は「きっと僕も嫌いになるね」って言った。そりゃあ、金で何でも出来るなんて思っちゃいない。けど、きっと、何かが違う。ある分のお金は、素敵なことに使い切らなきゃ意味がないんだ。彼女は僕にそういってくれた。だから、僕は、真っ暗な布団の中で見えない天井を見ているばかりになった。
お金が出来れば、毎日、食事が出来るし、肉も食える。でも、もっと素敵なことに使いたい。世界一周や、温泉掘りや。僕の趣味というよりは僕の一部にお金は姿を変える。
いつか、夏目漱石も、野口英世も、僕の顔に見えてくるんだろうなあ。
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