土曜日のよる、台所で、思いがけず罪深き大根 /六一介
一本百円のだいこを買って きょうは煮だいこにする
頭からしっぽまで えいえいと皮をはいで
すりきり水 ひとつまみ塩 ひとつまみ砂糖 昆布
この時期のは 霜が噛んでいておいしい と
煮込んで一時間
火を止めて一時間
なんとも 向こう側が透けて見えそうな 別嬪で
うっすら白い血管がとおり
もういいですよ・・・・ などと呟くのだが
なるほどちょうどの頃合だが
しかしわたしはお前が いとおしくなってしまったのだ よ
煮汁の中でジッと身を潜めているお前を
あいしてしまったのさ
あい なんてかさかさしたことばを 使うのは
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