雨と原/斗宿
濡れた雨が体に浸み込んでくる。浴びるように天の恵みに身を晒していると、やがて重みを増した黒髪がしとり、と肩を滑り落ちた。濃い土の匂いが全身を突き上げ、雲を叩く雨音の余韻を響かせていく。うねる草原に慈悲はなく、遥かな灯台がほーんほーむと別れの歌を送って寄こした。
星が瞬く。季節は冬へ移ろうとしていた。青い風は萎え、蟲たちの合唱も遠ざかる。わけてもわけても草はら。溺れるように、白い足は浪の間を渡る。ついと裂かれた紅い傷を、雪越しの蛹が見ていた。
燻し銀いろにひらめくうろこの魚。ざやざやと。指と肢をすり抜ける。空は低く光をさえぎり、暗い明日へといざなった。君は何を見ている。星を読んでいる。未来
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