頭蓋と埋葬穴・四角錘の猟犬群/高濱
安洋燈の光の暈の中心に聖女の頭部があり
斬首刑の頭蓋骨を抱えた首なしの聖人達の
行列が縫製職人に首を挿げ、既製服から
四肢を伸ばし河を漂っている。
狂った男がマネキンを横抱きに抱え、防腐処置の水銀に
放り込むと忽ち骸骨に戻る筆記者の手首が、
まるで葦の様に水中に靡いている。
嘲笑の時限式装置の自然停止が羽根を引き摺り
飛行する羽蟻の餌食になった黒揚羽を
葬列に磔にされた翼を拡げるイカロスに
擬えている、まるで屍骸の様に白い腕が
額縁の裡を撫で回す、林檎の実が描かれてあった
黒い切り抜きの空洞には牡蠣の殻が置かれている。
室内装飾に蹲る首の無い天使は
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