馬鹿だったぼくら/HAL
 
ぼくらは馬鹿だったのか知れない
違反デモに参加し火炎瓶を投げつけた機動隊に捕まったら
徹底的に暴行され治安を乱したものとして前科だって残る
でもぼくもぼくの仲間もそんなことを
一度も考えてみたことはないぼくらは心底の馬鹿だった

それは取りも直さず一流会社はもちろん三流会社にも
入社試験はおろか面接すら拒絶されることだった
でもぼくらはそんなことに想いを馳せない馬鹿だった
そんなことを考えたこともなかった
いつか世界をぼくらの力で変えることのできると
思い上がり自惚れていた馬鹿ばかりだった

いま就職氷河期だとはもちろんぼくらは知っている
何百社とエントリーしても徒労だ
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