ソロ、テンペスト/マクベス
 
安田は自分のことを積極的に話すタイプの人間ではなかった。
暇を見ては遊んでいる郷田が運転の最中に安田の指に光るものを見つけたことで初めて既婚が発覚したくらいだ。

「まったく知らない赤の他人じゃないんだからさあ」
まず神経質な坂口は酒の席で今まで溜まっていた苛立ちをぶつけた。
「込み入った事情が無いなら結婚したこと教えてくれたって良かったんじゃない?」
これが狼煙の合図とばかりにあとの三人も一斉に安田を責め立てた。
デリケートな問題なので誰もが先陣を勤めるのを内心嫌がっていたのだが最近ハマり始めたという焼酎の勢いで坂口は滑らかなようだ。

高校時代の同級生の飲み会は郷田がだいたい
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