「詩人」概念の私的探索/黒髪
 
「詩人」という言葉のその概念的内実を考えてみれば、「小説家」とも「文学者」ともちがっていることがわかるだろう。
そこには、詩を表現手段とすることと、個人であるという、相反するような人間の定義が宿っている。
過去を振り返れば詩人とはシャーマンであり、近代になって文学の歴史と共に多様な有り様が生まれてきた。
現代では夜の闇は電灯によって昼間に変えられるようになり、科学の進化は人間の闇を照らし出すようになった。
しかし、人間自体に変化がないのであれば、「詩人」の役割もまた変化がない。多くの人々が感じていると私は信ずるが、人間の欲求と行動の間の壁を乗り越えることである。過去の詩人がしてきたように、例えばこうしてみるのがいいかもしれない。すなわち、「月に向かって吠える」ことである。
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