田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
匹の野良犬の恐怖がほしいばかりに、
四千の夜の想像力と四千の日のつめたい記憶を
われわれは毒殺した
一篇の詩を生むためには、
我々はいとしいものを殺さなければならない
これは死者を甦らせるただひとつの道であり、
われわれはその道を行かなければならない
まずこの詩をよくお読みください。まず、ここで語られている思想、そしてここで語られている事実がよく理解できない、というのが多くの人の持つ感想でしょう。詩を書くために愛するものを殺す必要なんてあるのだろうか? しかも殺し方は、射殺、暗殺、毒殺と具体的に書かれています。そもそもここで言われている「多くの愛するもの」とはいったい何なの
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