シノハネ/平井容子
なにもかも
粉砕
ナイフでは永久に
無理な救いと
手を
つないでいた
椎間板を守りながら飛ぶ
ポリゴンの鳥が
ひきずりだした
わたしたちの赤い国旗
万歳のあとのやけど
しみだらけの胎から
のぼってくる朝日へ合掌して
水鏡に映えた翌日を殺した
指先でつくれるものはたかが知れて
それらしく
光った
多重録音から抜け落ちた
言葉足らず
それでも意識には翳る月日
枝でぶった月が
それでも健気にゆれた6月
つかのま展開した日記のなかで
ひからびて
すべて見せることにも耐えていく
遊ぶように草のうえで締まっていく
よい器が語る
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