夢幻/永乃ゆち
 


千切れかけた夜に流れる月が未練する

  (月をハート型にくり抜いた夜貴方と)

君の面影が遠い空の飛行機雲に乗って

  (寄り添う私は無言の約束)

初恋は通り雨のように虹を残して消えた


掌の中の幸せが空より広く僕を満たすけれど

かき集めた幸せに塗る色がないと嘆く

  (私の親指が伝えた愛を貴方の小指が知る術もない)


掬われて救われた骨は君の鎖骨に違いない

花弁を纏う天女は風に恋をしたんだ

どうかそっと花開いて


憎しみは人から生まれ人へ還るとか

   (小さな私は砂漠に落ちた涙)

君だけが教えてくれたこと
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