チャロ/めぐみ
彼女は
お母さんと お父さんと お兄ちゃんと
ごくごく一般的な家庭で
「幸せ」な暮らしをしていたのだろう。
周りから見れば
彼女は大変幸せそうに見えた。
しかし彼女に足らぬものは、
犬だった。
チャロがいなかった。
いつから居ないのかは思い出せないと言う。
思い出したくないのだと 言う。
ただ、チャロがいなかった。
かわいい 愛しい チャロがいなかった。
だから彼女はチャロの代わりに毎晩鳴いた。
毎晩毎晩毎夜毎夜 鳴き続けた。
ある朝、彼女はチャロになった。
チャロを想い、チャロになった。
チャロはチャロに満足した。
そして、チャロはこの世で一番の幸せ者になったんだってさ。
つづく。
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